真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜
「ごめん、しばらく柑奈と会えない。」
「そうなんだ?」
「実家に帰った妻が、階段から落ちて足を骨折したみたいで…」
そんな事を申し訳なさそうに私に説明する彼の姿を見ている
わがままなんて言えない。
むしろ、わがままなんて言える立場じゃなくて「分かってるよ」と笑顔で応えた。
もしかしたら、これを機に…私達の関係も終わるかもしれない。
そんな淋しさはあったけど
それで、行かないで。なんて情けない事は口が避けても言いたくない。
プライドを捨てるなら
恋を捨てるほうがマシに決まってるんだから。
「車で奥さん、迎えに行くの?」
「いや、車は妻が乗って行っちゃってるから、行きは電車で帰りは車だなー。」
ぼやきながら、玄関で靴を履いてる光太の背中をぼんやりと眺めていた。