真夏の夜のツンデレラ〜今夜は私を愛して〜


「なんで、亜星が掬えるのよ。つまんないわ」

不貞腐れた私に、亜星は小さな袋に入れられた3匹の金魚を見せる。

「ねえ、この金魚達さ、寄り添って…俺と柑奈みたい」

「一匹多いわ…」

そう呟いた私に

「俺たちにもそのうち増えるよ」と耳元で囁いた。


それって…

つまり

そういうこと?


私は誰かと付き合っててもそんな風に思ったことはない。

でも…

こうして、些細なことを、未来に映して見るのは少し恥ずかしい気がするけれど


それでもそうやって少しずつ

未来を見るのも悪くないかもしれない。


「その三匹目の金魚は私の愛人か何かかしら?」わざと、意地悪を言う私を笑いながら睨む亜星。

「次そんなこと言ったら、柑奈でも怒るよ?」

「それは怖くて愛人もつくれないわね」

「それでよろしい。」

笑いながら

気付けば屋台も一通りみて回った。


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