ワンコorオオカミですか!?
「その猫は、まるで灰を被った白猫かはたまた白い靴下を履いているような愛らしい脚をしている」
「白い靴下……」
「前の日に、驚かせてしまい公園を逃げ回られ引っ掻かれ、朝まで粘ったが連れて帰られなかった。だから、次の夜、定時で急いでその公園に行ったら――既に居なくなっていた」
「へ、へー。それは運命じゃなかったってことですかね?」
「お前は運命の相手は、出会った瞬間にお互い恋に落ちると思ってるならおめでたいな。男から必死で好きになって貰おうとアプローチするのも悪くないだろ?」
「き、切符返して下さい」
立ち上がった美国部長がこっちにやって来る。
いつの間にか、美国部長と出口のドアの間、逃げられないように追い詰められている。
柴田さんと木田さんに、生きて帰ったら報告しよう。
私、孤高の王子様、美国笙に壁ドンされましたと。
「なあ、地山」
「は、はい」
「あの夜、居なくなった猫を――知らないか?」
思わずぎゅっと瞑った目は、美国部長がどんな表情をしているのか見るのを放棄した。
そのせいで、再び顎を持ち上げられて、顔を強制的に向かい合わされる。