ワンコorオオカミですか!?
「あ? お前、俺に喧嘩を売る気か?」
「う、売りません。あ、ドアが開きましたよ」


何人か並んでいるのを見た瞬間、美国部長の顔が王子様の様に優しい姿に戻る。
その姿に数秒、乗り込もうとした姿で止まってしまった人たち。

その、美国部長が本性を出せない場所で、切符を奪うと全力で改札口へ走った。

こうなったら、逃げてやる。
たかが猫で――と言われたら私も侵害だ。
サンタは私にとっても家族だし。
けれど、サンタの事でこんなに冷たくされたり、眼鏡を壊されてり珈琲を被ったりしていたのかと思うと複雑だ。

美国部長にとっては私より断然猫なんだ。

運命の猫の前では私は、邪魔者でしかない。

それは――ちょっと悲しかった。

狼君には信用されてないから本性をみせてくれない。
美国笙は本性全開だけど、サンタの前では私は邪魔者。

私みたいな人間には、そんなポジションしか与えられないの。


ショッピングモールに入ると、大勢の人が乗るエレベーターに乗れたけど、15階からのオフィス専用のエレベーターは乗るのを止めた。

アレに乗れば逃げられないから。
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