ワンコorオオカミですか!?
「お前、男の免疫がなさそうだと思ったけど酷いな。嫌いな俺に迫られても真っ赤になるのか」
「こ、この状況で真っ赤にならない方がおかしいです。退いて下さい」
握られた手首からも熱が生まれて――身体中を支配していく。

その熱に私は心を奪われて、足元がぐらぐらと揺れてしまう。

怖い。

オオカミみたいで、この人も怖い。

今すぐ、此処でもこの人は場所なんて構わない。

運命の猫の為なら私を食べても問題ないって思ってる。


「う、運命の女性が今、この状況を見たら誤解しますよ」
「ふん。誰が運命の相手か分からないのだから、摘まみ食いぐらいはする」

女性より猫の方が扱いが丁寧ではないでしょうか!

「それよりお前は、ねこより丁寧に扱って欲しいのか? 俺に?」

にやにやと笑う美国部長は、耳元で甘く囁く。


「遊んでやれば――俺の運命の相手を返してくれるか?」

かああっと頭に血が昇る。
この人、私が免疫ないって分かってるのに本当に最低だ。


一発ぐらい殴ってやる。

一発……。

そう思うのに、涙が溢れてきて視界を塞いでしまった。

両手を壁に縫い付けられて私は――自由もない、優しさもないこの状況に涙が込み上げてくる。

「これぐらいで泣くな、馬鹿か」

「私が嫌いだから人間扱いもしないのは分かりました。貴方なんて大嫌いです。貴方なんて一生、一回も、一ミリも、一瞬でも、一時でも好きになんてなりません」
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