ワンコorオオカミですか!?
仰向けに倒れている
美国部長がぼやけて見える。

眼鏡が……、二個目の眼鏡は美国部長の肩の下、変形して落ちている。


「エレベーターへ向かおうとしたら、貴方と笙が走って階段へ向かったと聞いたのよ。だから、階段に視線を送ってたら、貴方が落ちてきて」

紺野さんが意識がない美国笙を見て流石に真っ青になっている。
「受付へ行って医療室に電話お願いして」
紺野さんが木田さんと柴田さんに指示する。

私が先に落ちてきた?

じゃあ、なんで美国部長は私の上に落ちて来なかったの?

何で倒れているの?

「紺野さん、この人……私を庇ってくれたんですか?」

涙を拭いながらそう聞く。
紺野さんは、美国笙の方を見ながら静かに頷く。

「私にはそう見えたわよ」

嫌な人だ。
一瞬でも好きになんてならないような、嫌な人。
きっと過去一番、出会った中で一番嫌な人。


散々そう伝えたのに。

私を庇ってくれたなんて
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