ワンコorオオカミですか!?
そのまま早退した私は、パソコンを正面に睨みつけ泣きながら長文の文を打っていた。

『拝啓、親愛なるおじいちゃん。
田舎の暮らしはいかがでしょうか。昨年送られてきたきゅうりは水々しく本当に美味しかったです。さて、本題ですがそちらで猫を飼ってもいいでしょうか? 可愛い猫です。靴下を履いているような可愛い猫なので名前はサンタです。私もおじいちゃんの農業を手伝いたいなって思っているので、猫同伴をお許し下さ』

そこまで書いて、指が止まる。
私は今、現実から逃げようとしている。
私のせいで意識不明になった美国部長の安否も知らないふりして、現実から逃げようとしている。
心配しなきゃいけないのに、心の中に渦巻く感情が汚くて。
自分の大好きだった世界観が壊れてしまいそうで、デザインをするのも怖くて。

もう絵を描くのも、都会で人と関わるのも怖い。

逃げ込みたい先の絵が描けない今、ここに居たってしょうがない。

でも、サンタだけはあの人から守りたいし。
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