ワンコorオオカミですか!?
「狼君」
「何があったのか分かりませんが、言いたくないなら聞きませんが断言しときますね。アイツが悪いです。自業自得です。」

鼻息荒く狼君がそう言うから、思わず目を丸くしてしまう。


「そして、ちょっとだけ先輩に会いに来るのが怖かった。ごめんね」
千切り終わった狼君は、チョコの袋を開けて私に一つ差し出してくれた。

「先輩の世界観が、あの男に壊されてたらどうしようって。でも、目を見れば分かるよ。先輩はちゃんと先輩のままだ」

その言葉に、真っ黒にブスブスと焦げていた心が洗われるような気がした。

私の世界観があるとしたら、それはきっと狼君が待ってくれているからだ。


「もう、好きなように好きなものが描けないかと思ったから、だから」
「だから、辞表?」

頷くと狼君は声を出して笑う。
ひっくり返って、私の不安を吹き飛ばすかのように笑う。
真剣に悩んでいたことを軽くしてくれるように。
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