ワンコorオオカミですか!?
「先輩はね、極端なんですよ。嫌いなものは嫌い、好きなものは好き。そんな世界観や生活の中に俺が侵入するのに、何カ月掛ったと思っているんですか? だから分かります。先輩はあの人が嫌いです」
断言して、私の困った性格も笑い飛ばしてくれる。
自分でも知らなかった厄介な性格を、狼君は笑ってくれている。


「俺ね、今の先輩が好きですよ。その好きの意味は――先輩が捉えるように捉えて下さい。俺、先輩の絵を初めて見た時、心が震えあがったんです。就職活動に生かされないのにこの人、すっげーって」


ゼミの先生に、就活用に絵を数点描けと言われた。他の人にはないオリジナルティのある絵と、企業が欲しくなるようなCGを巧みに使った絵と、自分の好きな方向の絵を。

グラフィッククリエイタ―になりたい人なんて、この大学にも毎年百人近く現れて、その中でなれる人なんて自分のイラストや画力、セールスポイントを上手にアピールできる人だ。

狼君みたいに、大学生の登竜門みたいなコンクールで賞を総なめしたら、一流企業からスカウトが来るかもしれないけど。
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