ワンコorオオカミですか!?
「わ」
「先輩?」
猫が、真っ暗になった瞬間にするりと腕から出て行ってしまった。

すぐにテーブルの上に置いていたリモコンで電気をつけようとしたら、――いつも置いている場所にリモコンが無かった。

それ、は猫の仕業だったと思う。


カーテンから差し込む淡い光だけでリモコンを探していたら、狼君の手に触れたしまった。

「ごめ――」

そう言おうとして、一瞬唇に触れたのは――何?


しっとりとした温かい何かが唇に触れた。

今起こった現象に目を見開いたら――すぐに電気がついた。


「リモコン、此処にありましたね」

狼君が笑うけど、リモコンが通常の位置に戻っている。

一番に確認した場所なのに。

「どうしました? 先輩」
「今の――何?」
「何の事?」

ふわりと、狼君は笑う。
意味ありげな――真っ直ぐな笑顔で。
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