どこかにトモダチ転がってませんか?
ボーっと部屋の中を眺めていました。
留守番は苦手でしたが、この家の留守番は楽しかった。
誰もいない分、いろんな事を想像することができたので。

オトナの2人について、あれこれ考えてみました。
2人が履いてたバルーンスカートみたいなズボンのこと。
沢山ついてたベストのポケットの中に、何を入れてるのか…と想像しました。
…考え出すと、止まらなくなりました。

思いついて、絵を描いてみたくなりました。
でも、シャーペンも何もありません。


…絵を描くのは好きです。
キレイな色を塗り続けるのは、もっと好きです。

「画家になりたい!」

そう言うと、吉田先生は大賛成してくれました。
でも、お母さんは大反対です。


「ののちゃんまでが、そんな事言うの?」

夢を見るのは、月ちゃんだけで十分…といった口調でした。
家の中では、私は夢も見れなかった。

いつもいつも、見るのはお母さんの顔色ばかりで、聞くのは、「常識的に生きて…」という言葉ばかりで。


眠れなくなったのは、クラスメートとのコミュニティーションに疲れただけではありません。

…私は、お母さんにも疲れきりました。

親という立場を利用して、私のことを支配してくる。
それに、グッタリと疲れてしまったんです。

オトナはキライです。
コドモの私を理解しようとしてくれません。

私は私らしく、コドモであることを満喫したいのに。

夢を見て、ワガママを言って、自由に、何時間でも絵を描いていたいのに。
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