どこかにトモダチ転がってませんか?
トウリョウとやくそく
翌日は、朝から気持ちのいいお天気でした。

「お世話になりました」

朝ご飯を食べてお礼を言いました。
タコさんは心配そうな顔をしています。
キツネさんは、相変わらずムッとした顔のままです。

「今日で旅行は終わりだね?家に帰るのかい?」
「…はい。そのつもりです」

帰る気はないけど、そう答えました。
タコさんはあまり信用してない様子だったけど、一応その言葉を信じ、昨日と同じように「おむすび」を渡してくれました。

「元気で。またどこかで会えるといいね」

『トモダチ』だと言ってくれたタコさんの顔は優しそうです。
私は、今までオトナというものがあまり好きではありませんでしたが、この人のことは好きになれそうだな…と思いました。

…家を出るのに合わせて「仕事へ行く」と言うタコさん達の服装を見て、昨日の疑問を思い出しました。

「あの…」
「んっ…?」

振り向いたタコさん達に、そのポケットのたくさん付いたベストとバルーンスカートみたいなズボンを着て、どんな仕事をするのかと聞きました。

「大工だよ。ののかちゃんは、大工という仕事を見たことがあるかい?」

そう聞かれて、少し考えてしまいました。
『大工』という漢字が思い浮かばなくて、大晦日の夜に聞いたことがある『第9』をいう文字が浮かんだからです。

「…一応…聞いたことありますけど…」

答え方は間違ってます。
「見たことがあるか?」という質問に「聞いたことある」と答えたから。
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