どこかにトモダチ転がってませんか?
空き地には、置かれてあった材木で、四角が作られてました。

「この木枠は神社の基礎だよ。この上に社殿を建立していくんだ」

この場所には昔から小さな神社が建っていて、去年の台風で大きく壊れてしまったそうです。
それをタコさんとキツネさんは、直してるところだ…と教えてくれました。


(そうか…やっぱりここには神社があったんだ…)

石段の下にあるピカピカの鳥居の意味が、ようやく分かりました。
私はタコさん達の仕事の邪魔にならない場所で、2人の仕事ぶりを眺めました。

土台にあたる材木に、柱を建てる為の穴(?)を彫っていきます。
ノミという道具を使って、丁寧に木をくり抜いていくタコさんの手元をキツネさんは真剣に見つめています。
そこにはいつもの荒っぽい様子はなくて、一生懸命学ぼうとしてる姿がありました。

タコさんの作業を真似して、キツネさんは別の所の木に穴を掘り始めました。
木は見た目以上に固いらしく、キツネさんのたてるノミの刃は、なかなか奥に入っていきません。
見た感じ、タコさんとは『うでまえ』が違うみたいです。
見るに見かねて、タコさんがアドバイスをしました。
アドバイス通りにノミをたてると、刃はスイスイと奥に入っていきます。

「…おぉっ!」

キツネさんは自分のことながら、驚いたように声を上げました。
それを見て私は、(子供みたい…)と思いました。
ずっと私のことを『ちびっ子』と呼んでましたが、(自分の方が『ちびっ子』じゃん…)と思ったのです。
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