どこかにトモダチ転がってませんか?
キツネさんが上手に穴を開けだしたのを見て、タコさんは別の場所で同じ作業をします。

四角い木枠の四隅に開けた穴に、それぞれ木の柱を立て、その4本の柱の上に屋根の土台となる木を横渡していく。
そうしてできた四角い箱型が、この神社の『きそ』になるんだよ…と、休憩時間にタコさんから教わりました。
タコさんは、地面に絵を描きながら教えてくれたので、とても分かり易かった。
学校の授業も、同じように絵で説明してくれればいいのに…と思う程でした。

絵を見ながらこの四角い箱型が、どんなふうに変わっていくのかが知りたくなりました。
ここで、その様子をスケッチしてみたい。
神社が出来上がっていく様子を絵に残してみたい…という思いに駆られました。

でも、それをするわけにはいきません。
キツネさんからは「出て行け」と言われたし、自分でもここにずっと残っているつもりはなかったから。
まだ家には帰りたくありません。
行くアテもありません。
ここにいて、タコさんやキツネさんに迷惑もかけられない。
…となると、私は一体、どこへ行けばいいんでしょう…?

(居場所がないなぁ…どこにも…)

そう思うと悲しくなりました。
教室の中で、クラスメートと会話してる時と同じ気持ちでした。

皆と同じような会話をすることがニガテでした。
正確には、できませんでした。
皆が喋ってる内容を、私は理解できないことが殆どだったからです。

テレビを見ることも、本を読むことも、難しい時がありました。
映像と言葉が同時に流れるテレビなんか、本よりも意味不明です。
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