どこかにトモダチ転がってませんか?
タコさんはキツネさんの張り上げる大声を聞きながら、止めもしませんでした。
何を考えてるのか分からず怖かったのは、むしろ、そんなタコさんの方でした。

「棟梁!なんか言ってやって下さいよ!!」

イライラした感じで、キツネさんが助けを求めました。
昼ご飯を食べ終えてたタコさんは、タバコの煙を吐きながら、じ…と私とキツネさんを見ていました。

私は、そのタコさんの吐き出す煙を見上げ、何を言われるかドキドキしていました。
キツネさんはイライラしたまま、とりあえず地面にお尻をつけました。

タバコを1本吸って、タコさんは地面で火を消しました。
吸った後のタバコを、きちんと携帯灰皿の中に入れました。
それをいくつも付いてるベストのポケットの定位置に戻して、私に問いかけました。


「ののかちゃんは…どうして家出をしたのかね?」

高2と言えば青春真っ只中で、一番楽しい時期だろう。なのに何故、その楽しい時期に家出なんてしたのか…と、聞きました。

「私は…」

理由をゆっくり話しだしました。

漢字が読めないこと。
そもそも、覚えにくい頭であること。
学習障害だと言われたこと。
漢字が分からない為に、言葉の意味も分かりづらいこと。

会話が理解できない。
テレビも本も人一倍、努力しながらでないとついていけない。
学校のクラスメートとの会話が一番苦痛で、ずっとずっと我慢し続けてきたけど、とうとう心がパンクして、
スクールカウンセラーの先生に泣きついたこと。
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