どこかにトモダチ転がってませんか?
「ののかちゃん、先にお入り。ワシらは飯を食ってから入ろう」

コクン…と頷いて、持ってきたバッグごとお風呂へ行きました。
着替えを出しながら、こんなに良くしてもらっていいのかな…と考えました。

明日から大好きな絵がいくらでも描けるんだ…と思うと、心が弾みます。
でも、ホントにそれでいいのか…と迷う気持ちもあります。
お母さんや学校のことが、気にならない訳でもありません。

タコさんに親切にしてもらって、この家にいてもいいと言ってもらって、それはとても嬉しいけど、自分は何もお返しができない。
迷惑ばかりをかけて、気を使わせてばかりいます。

……だけど私は、昼間のタコさんの言葉を思い出しました。

ここには、「りょうよう」をしに来てるんだ……と思い直しました。

「りょうよう」というのは「休学」と同じです。
何も考えずに絵を描きながら過ごす。
そういう時間は、きっとこれから先もない…という気がしてきました。

(だったら、思いきり絵を描き続けよう!目に見えるもの全部、絵に残そう!)


…今までは、学校の授業についていくのが精一杯で、絵を描くということもできにくかった。
だから、この1週間で、できる限りのものを絵にしようと決めました。


ーーーそれは、家出から3日目の夜の…出来事でした。

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