どこかにトモダチ転がってませんか?
4日目の朝、キツネさんの怒鳴る声よりも先に目が覚めました。
柱に掛かっている長い時計の針が、6時前をさしてます。

「ふぁ〜…」

大きなアクビをしながら起きました。
布団を食事する部屋の片隅にたたんで置きました。

私は「客間」で寝るよりもこの部屋で寝たい…と言いました。
カチカチという時計の音を聞きながら寝た方が、よく眠れると言ったんです。

「うるさくないかね?」

タコさんは不思議そうに聞きました。

「ちっとも。とても落ち着きます」

変な歌声やゲーム音の中で生活してきた私には、この時計の音はとても心地のいいものに感じていました。
普通の人には耳障りな音でも、私にとっては心地いい。

自分が他の人とは違うんだ…ということを実感させられますが、ここではそれを許してもらえる。
それが何よりも一番落ち着ける理由なんだ…と思いました。

カラカラ…と玄関の扉を開けて外へ出ました。
夜はまだ開けておらず、空の色も暗い感じでした。

昨日夕日が落ちていった海も暗かった。
空と海の境目の線も、かすんで見えました。

カァカァ…とカラスが鳴き始めました。
それと同時に、山の方から鳥たちの声が聞こえてきました。

空が薄い水色に染まりだしました。
夜が明けて、日が昇り始めたようです。

振り返って山の方を見ました。
山の木々が作っている線の向こう側が、赤っぽくなっていきます。

くるくる…と変わる空の色を見つめるのは好きです。
こんな色を自分も出せたら…と思います。


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