どこかにトモダチ転がってませんか?
呼ばれた3人は、奥の部屋から飛び出してきました。
もつれ込むように私の前に集まり、真ん中にいたお母さんが、真っ赤な目をしてました。

「どこ行ってたのよ!」

月ちゃんが声を上げました。

「皆を心配させて!」

その言葉にショボンとなりました。

「どこもどうもないのか⁉︎ 」

お父さんが近寄って聞きました。

「うん…」

恐々と顔を上げました。

お父さんは怒ったような困ったような顔をしてました。
でも、そのお父さんの後ろで、お母さんは突然大声を出して泣き崩れた。

わあわあ…と声を上げるお母さんを、月ちゃんと大ちゃんがいたわってます。
それを見た私も、涙が溢れてきました。


「……お母さん……ごめんなさい………」

泣き崩れる姿に反省させられました。
死をもって教えられなくても、お母さんの涙が全てを物語ってるような気がしました。


お母さんは私をぎゅうっと抱きしめました。
苦しくなるくらい抱きしめてもらって、初めてお母さんのことを好きだと思いました。


ーー家族は皆、私の置き手紙を冗談のように受け止めてたんだそうです。
クラスメートの誰かと一緒にいるんだろうと思い込み、探すこともしなかったそうです。

でも、翌日、学校から欠席しているという電話が入り、初めて家出だと気がついた。

警察へ行こうとするお母さんを止めたのはお父さん。
事件や事故に巻き込まれているのなら、向こうから電話が入るだろうから待て…と言ったそうです。
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