優しい時刻
ふーッ着いた…
ダイエットの為とは言え、マンション3Fまで上るのは疲れる〜
鍵を探しながらドアの方へ進んでいく。
え。
だ、誰かいる…
日樹?
あれッ さっきの男の子?
玄関の前に座っていたのは、坂道で見た6歳位の男の子だった。
もちろんドアが開けられない訳で
「お姉ちゃんココのお家に入りたいんだけど…何してるの?」
そう言うと、男の子はスッと立ち上がり
「ユウミちゃん」
と、私の名前を呼んだ。
鍵を開け、中に入ろうとしてた私はビックリして荷物を落としそうになった。
ゆっくり男の子の方を見る
慌てるな、私
落ち着いて、落ち着て…
そう何度も繰り返し、ゆっくり視線を落とした。
「ねぇ、どうして私の名前知ってるの?あなた、だぁれ?」
その問いに男の子は、とびきりの笑顔で『アオ』とピースサインをくれた。