優しい時刻
人の心配も知らないで・・・



運んできた荷物を下ろすと、玄関に大の字になってた。

「ちょっと台所まで運んでよね」

はいはい・・・と、起き上がると重たい足取りで運んでいく。

これが数日前にバスジャックしようとした人かと思うくらい。

「だぁ〜疲れた」

日樹はソファでくつろいでる。と、思ったら突然ガバッと飛び起きた。

「なぁ、この人形さ。小学生の時んじゃない?」

そういって、棚の上に置いてある古い人形を手に取った。


「うん、よく覚えてたね」
「…ボロくなったな。覚えてるよ、これ朝顔んとこにあったろ」

日樹が手に取った人形は、タイから来た糸巻きのお守りの人形に似ているモノ。
当時は子供だったし、まだ流行が来てなかったので知らなかった。

白色の体に、かわいい丸い目と茶色の髪。
青のオーバーオールみたいな服の真ん中には、ハートの飾り。

「佑美の育ててた朝顔から出てきたんだよな。それも台風の日」

その頃、親の再婚話があって不安だったのか、子供の私はいつも持っていた。

「その後しばらくして、人形と同じオーバーオールの転校生が来て笑ったな」
「そうそう、青色にハートの飾りが派手だったもんね」



その時、お風呂から上がったアオくんは駆け寄った。







「にちきーッ」






!!!!!!





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