優しい時刻
第三夢;時間
部屋のカレンダーにはたくさんの◎丸が付いている。日樹が早朝と夜9時までのバイトを入れたシフトの印。
「ねぇ、どうして急にバイト増やしたの?体大丈夫?」
カレンダーの出勤数を数えながら足の爪を切ってる日樹を見る。
「ん〜、そろそろ金が貯まりそうだからさッ。それに早く出た方がいいだろ?」
「そりゃね、若い女子の家にいつまでも居るのは変だからねッ」
そう強気に言ったけど、居なくなったらアオくんと2人になっちゃうだ・・・と少し寂しくなってる自分がいることに気付いた。
そんなボーっとしている私の顔をのぞいてるアオくん。
「ユウミちゃん、さみしい?」
その言葉にハッとして、笑って話す。
「ううん。どうして? アオくんがいるじゃない」
小さな目はキラキラしてて、まるであの人形の青い目みたい。
そう、あの青い瞳
あまりにもかわいかったので、思わず抱きしめた。
ん?
何でアオくんの瞳、青いの?
それに人形の目は確か黒だったのに・・・
どうして私、人形と同じ青い目だと思った?
ぐるぐる頭に回るハテナで、抱きしめてた腕の力がゆるんだ。
ぼくがいるからね、ユウミちゃん
え。
耳元でささやかれたような気がしたけど、声を聞いた感じはなかった。
「はーい」
お風呂場の日樹から呼ばれたアオくんは、するりと腕を抜けて元気よく走って行く。
え。 何?!