depend
PM11:00
子どもたちもとっくに寝て、
散らかった部屋を掃除して、
あたしは化粧をして
あたしを作る。
女になる。
am0:00
彼からのline。
"ちょっと遅れる"
予想していた通りで、動揺もない
"わかったよ♡大丈夫。
気をつけてね"
彼が時間通りにくることは少なかった
毎週金曜日土曜日は飲みに行き、
都合が合う方に、会いに来る。
♪〜♫〜、
電話が鳴る
化粧を直しながら電話にでる。
予定より1時間遅れ
亮太は家にきた。
「ごめん、遅くなって」
そんな言葉はいらないから
キスをして。
今すぐに、
全部忘れられるようなキスをして
亮太とは、体の相性はよかった方だった
相性?
違う、あたしは好きであれば
自分が好きならよかった。
あたしのことを好きじゃなくても
目を塞いで、翔太を思い出せれば
よかった。
もちろん、似てないとこだって
たくさんある。
そこも見ないふりをできる。
亮太は翔太じゃない。
でも今一番、あたしにとって
すべての逃げ道。
あたしが母でもなく、
わたしでもなく、
あたしでいれる場所。