depend
「これ、なに?」
出てきた言葉は、単語でしかなく
さっきまで笑顔だったはずの顔は、
ひきつるように違和感しかなかった。
「これなにってー、」
「浮気現場?」
「違うって、やばい現場ー!笑笑」
翔太以外の人たちが
笑いながら、キチガイみたいに
なにがおかしいのかわかんないけど
あたしはちっともおかしくないのに
あたし以外はみんな笑ってた。
翔太も笑ってた。
「こんな感じです、俺っ!」
どんな感じかも、
目に入る状況とは裏腹に
あたしは理解できずに、
ただ立っていた。
「まぁー翔太は悪い子ってことかな?」
翔太の隣にいる女がたばこを消しながら
あたしに向かってだろう言葉を吐き出す。
「誰?あんた。」
あたしは震えないように、
必死に声のトーンを落とす
見た目があたしより
全然大人っぽくて
あたしより、断然キレイで
直感でわかっていた。
口にする前に誰か知っていた。
「みきでーす♡」
何も言えず、動くこともできず
翔太をみる。
あたしを見ようともせず、
頭をたてにふり、
歌を歌ってる。
狂ってる。
悪いことをしてる。
あたしも頷く、
あたし自身を納得させるために。
「一緒にしよーぜ」
翔太が定まってない視点であたしに
誘いかける。
あたしは、なにも答えず
部屋を出た。
階段を落ちないように、
駆け下りたいのに
足が震えて
落ちないように
1段1段ゆっくりおりる。
持っていたチョコレートを
半分までおりたときに、
上から聞こえる奇声と洋楽に
あたしのその時の
全ての感情をぶつけた。
階段から投げつけた。
投げつけたら、震えが止まって
あたしは一気に階段を
駆けおりて、家を出た。