depend

一緒に住んでから2ヶ月
1月の終わり頃。

共通の友達の卓也が
翔太のことで相談があると
翔太が仕事でいないときに家に来た。

不安にさせないために
翔太には言わないで
俺とあいつの関係も崩れる
と言われ翔太には言わなかった


「話って何?翔太がどうしたの?」

「や、あいつ頑張り過ぎじゃない?
すごい疲れてる。」

疲れているのは分かっていたし、
あたしはあたしが責められている気持ちになった。

「だからあたしも、
学校やめて働くって言ってるのに
辞めさせてくれないもん!」

「別にお前責めてるわけじゃなくて!」

「じゃあなんなの?」

イライラして口調も態度も悪くなる。

「てかさ、なんであいつがいーの?」

「は?」

「あいつ薬してたんだろ?お前に暴力振るったりもしてたんだろ?なにがいーの?…依存じゃん、ただの。」


もう気づいたら手が出てて、
思いっきり卓也にビンタをしていた

「いってーな…!」

手首を抑えられる。
抑えられていない手でまた叩く
足は卓也を蹴り、
口からは暴言を吐く。


あいつがいーの?
なにがいーの?
ただの依存じゃん

その言葉はあたし自身に
大切な翔太に、
向けられた侮辱でできるすべての力で
卓也を殴り、蹴った
殺意だと思う。


そんなあたしを卓也おさえつけ、

「俺はお前が心配で!」

なんて言っていた気がしたけど
うるせー黙れって
馬乗りになられ、
動かせない手足の代わりに、
口で攻撃した。


「あいつ、浮気してるし元カノと」


冷静に、考えればよかった
そんなの嘘だって冷静にさえなれたら
気づけた。
だけどあたしは冷静じゃなくて、
頭にはあのバレンタインの日が浮かぶ

みきでーす♡

ってあたしに手をふるあの女が浮かぶ。

抵抗をやめていた。

涙があふれ、卓也があたしに
キスをしてもなにをしても
頭に元カノしか浮かばなかった。


いつもいつもあたしを苦しめる存在
幸せからつきおとす存在

自分で作り上げた虚像の敵わない存在。


冷静になれていたら、
翔太を信じてあげれていたら。
< 41 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop