タイムトラベラー・キス
二人の意見が合って嬉しい。特に相談もしてなかったのに、以心伝心ってこういうことなのかな。


電車から降りて、映画館近くのパスタ屋さんに入る。
ナチュラルテイストのオープンカフェで、私たちは景色のよく見える席に座った。

「ねぇ、あの高校生カッコいいね」
「……でも女の子の趣味あんまりよくないよねー」


通り行く人や、カフェのお客さんたちがヒソヒソ話しているのが聞こえてくる。
私はいいけど、竜見くんに聞こえていたら恥ずかしいし、申し訳ないよ。


「た、竜見くん。なんかごめんね……」

「なんで雫ちゃんが謝るの?雫ちゃんが可愛いからみんなが嫉妬してるだけだよ」


優しく微笑みながら、頭をぽんぽんとたたいてくれた。
向かいの道に咲く桜がとてもきれいに見える。
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