タイムトラベラー・キス

「うん、仕事も順調そうで元気いっぱいだよ」


「そっか。……もう10年もろくに話してないな、雪ちゃんとは」


……竜見くんはそう言ってまた笑ったけれど、とても寂しそうだった。
それにしても、10年も話していないって……どういうこと?
17歳のとき、二人の間に何かがあったことは間違いない。でも私には何があったのか分からない。


「もう、10年になるんだね」


なんとか思いついた言葉を口にする。未来にタイムスリップしてからこういうことばっかりだな……。


「そうだね、今でもたまに、あの頃に戻ってやり直したいって思うよ」


思わぬ発言に肩をビクっとさせて驚いてしまった。
なんだか秘密を知られているような気持ちになる。

竜見くんはそんな私の焦る様子に気づくこともなく、話し続ける。
あれ、こんなに彼っておしゃべり好きなひとだったっけ。
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