タイムトラベラー・キス
「俺さ、両親が不仲でいろいろあって……女性不信だったんだよね。でも女の子は無数に寄ってくるし、断るのも面倒だから適当に受け入れてた」
「えっ」
「雪ちゃんから聞いていると思ったけど、知らなかった?あの頃の俺は、女の子はただヤるための存在だったんだよ。雫ちゃんにもひどいことしちゃってたしね……」
隣にいる私の彼氏(10年前)は、さらりと信じられない真実を口にする。
それってつまり”来る者拒まず”ってこと……?
そして、私に対しての”ひどいこと”っていったいなんなの……?
付き合っていくうちに何かされるということなのだろうか。
「そ、そうだったね……」と、適当に話を合わせることしかできない。
「ほんと……クズだよね。雪ちゃんは、女性不信だったことも、クズな行動してたことも知ってたけど、何も言わずに友達でいてくれた。……でも、雫ちゃんに関しては違ったんだよね」
「……違った?」
顔を横に向けると、整った彼の横顔が車のライトで照らされていた。
さっきまで笑って話していたのに、今は笑っていない。