タイムトラベラー・キス
暖かさを運ぶ風が、私たちの席にさくらの桜の花びらを運んだ。


「桜って綺麗だね」
「うん」


ひとりで教室内で見てるよりも何百倍も美しく感じる。
ああ、恋って不思議だなあ。
どんなことも、竜見くんと一緒だったら楽しくて仕方ないよ。


パスタ屋さんを出て、私たちは映画館に向かった。
お昼代もチケット代も竜見くんが払ってくれようとしたけれど、申し訳なくて割り勘にしてもらった。


「映画館空いてるね、ラッキー」


映画館の一番後ろの席に座る。私はいつも見るときは真ん中付近だけど、竜見くんの意見に合わせた。
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