タイムトラベラー・キス

「……そうやってまた、お母さんたちのことで悩んでくれるなんて嬉しいわ。ありがとう。前も話したけど、お父さんとお母さんは、雫の幸せが一番大切なの。雫が一番好きな人と幸せになってくれる、これだけで私たちは幸せなんだよ」


「お母さん……」


「それに、雪くんは本当にまじめで男らしくていい子だと思う。彼なら雫を任せても大丈夫って心から思ったの。雫は、お母さんたちのことは気にしないで、一番大切な人をそばで支えてあげなさい」


「……うん」


お母さんは雪のことを認めていた。心から信頼していた。
それだけで私は嬉しくて、胸がいっぱいになる。

お父さんとお母さんに後押しされて、私は一番大好きな人と一緒に、新しい人生を送ることに決めたんだね。

また同じことで悩んで、後ろを向いてしまいそうになっても、背中を押してくれる人がいる。



親の存在って本当に偉大で、ありがたいものなのだと実感した。


……過去に戻ったらもっともっと親孝行しよう。
そう心に誓った、同窓会の夜だった。

< 115 / 276 >

この作品をシェア

pagetop