タイムトラベラー・キス
女子トイレから出ると、壁にもたれながらスマホを見ている竜見くんの姿があった。
「お待たせ」
「そんなに待ってないよ。じゃあとりあえずここを出ようか」
彼から手を差し出され、そっと握り返す。
私よりも大きい手だけれど、野々村くんの手とは違って、女の人の手みたいだ。
……久しぶりに野々村くん以外の人と手を繋ぐ。
過去に戻ったとはいえ、浮気しているようで胸が痛い。
入れ替わりに未来に行った17歳の私も、同じような罪悪感で苦しんでいるのだろうか。
そう考えると申し訳ないかも。
「今からどこに行く?」
ふいにそう質問されて、内心すごく焦ってしまう。
高校生がどこで遊ぶかなんて、もう分からないし、10年前のトレンドも覚えていない。
「どこでもいいかな」
一番相手が困る回答だと知りながら、こうしか答えられなかった。
「お待たせ」
「そんなに待ってないよ。じゃあとりあえずここを出ようか」
彼から手を差し出され、そっと握り返す。
私よりも大きい手だけれど、野々村くんの手とは違って、女の人の手みたいだ。
……久しぶりに野々村くん以外の人と手を繋ぐ。
過去に戻ったとはいえ、浮気しているようで胸が痛い。
入れ替わりに未来に行った17歳の私も、同じような罪悪感で苦しんでいるのだろうか。
そう考えると申し訳ないかも。
「今からどこに行く?」
ふいにそう質問されて、内心すごく焦ってしまう。
高校生がどこで遊ぶかなんて、もう分からないし、10年前のトレンドも覚えていない。
「どこでもいいかな」
一番相手が困る回答だと知りながら、こうしか答えられなかった。