タイムトラベラー・キス
エレベーターで16階まで上がり、竜見くんの後をついていく。

そういえば、お家にはご家族の方がいらっしゃるのだろうか。
よく考えたら何の手土産もない……って、別にいらないのかな。


「ここだよ。どうぞ入って」


竜見くんに案内されるがまま、彼の家の玄関まで足を踏み入れた。
玄関には高そうな絵や壺などが置かれていた。

靴は竜見くんと私のものしかない。


「お、おじゃまします」


「夜になるまで誰も帰ってこないから、緊張しなくて大丈夫だよ」


”家に二人きり”という新事実に胸がドキっとする。
二人きりってどう考えても危ないよね?

竜見くんは変なことはしない、って言っていたけど……
やっぱり家に来たのは間違いだったのだろうか。


……竜見くんとの付き合いは覚えていないけれど、私の初体験は野々村くんだから、ここで何かあってはいけないという事だけは分かる。


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