タイムトラベラー・キス

「そういえば、雫ちゃんって英語得意?」

「うーん、普通かな……」

「俺、英語って一番苦手なんだぁ。でも担任が英語の先生でさ、初日から英語の宿題出されちゃって……一緒に見てくれないかな?」


……なんて高校生らしい会話なのだろう。新鮮で楽しいとすら思えるけど、英語の勉強から数年離れている私が彼に教えられることがあるのだろうか。


でも、何もしないで過ごすよりも、勉強をしていたほうが健全な気がする。


「私も勉強できないけど、一緒に宿題やってみよっか」


「やった、ありがとー」


彼の表情は一気に明るくなる。本当にうれしそうで、可愛いとすら思えた。
……その笑顔は反則すぎる。

竜見くんは、勉強机の上にある本棚から、1年で使用する英語の教科書とノートを持ってきた。私のカバンの中には教科書類は入っていない。今日は始業式だったはずだから、何も入っていないのも当然か。

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