タイムトラベラー・キス
どうしよう、こんなに濃厚なラブシーンがあると思ってなかったよ。竜見くんと繋がった手にじんわり汗がにじんでいく。

竜見くんはどんな気持ちでこれを見ているんだろう。
私はとても恥ずかしくて見ていられない。
何を意識しちゃってるんだろう……。


ふと、私の右手が開放的になっていることに気がつく。
あれ、竜見くん、もう、私の手を握っていない。
汗ばんじゃって気持ち悪いと思ったのかな。

心配になった私はちらりと竜見くんのほうを向く。


(えっ……)


思わず声が出てしまう。
だって、竜見くん、私のほうをまっすぐに見つめていたのだから。

映画なんて全く見ずに、真剣に……でもどこか色っぽくて。

こんな彼の顔を見るのは初めて。

そして……彼の右手はゆっくりと私の頬を包み込む。
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