タイムトラベラー・キス

「からあげもーらい」


「あ、ちょっと！」


野々村くんは一口で私のから揚げを食べてしまった。
……もしかして、ずっと狙っていたのか。

から揚げのつまみ食いも、このころから変わらないんだね。



「うまい！」


「……それはどうも」


本当はから揚げを嬉しそうに食べる野々村くんが大好きなんだけど、それを隠してそっけなく接してみる。


「お前をほめたわけじゃねーから」


「分かってますって」


……それにしても、なんで野々村くんって私に対してこんなに意地悪なことばかり言うのだろう。

二人で文句を言い合いながらご飯を食べるという不思議な時間はあっと言う間に過ぎていく。
先に食べ終わったのは野々村くんで、立ち上がったところでまた私に話しかけてきた。



「……なぁ」


「何？」


「…………お前と晃は全然似合っていない」