タイムトラベラー・キス

距離感。

昼休みが終わり、引き続きホームルームが行われた。
私はやっぱり集中できなくて、窓から見える満開の桜をずっと眺めていた。


「明日からはこの時間割り通りに授業が行われますので、わすれもののないようにしてくださいね」


一日の最後に先生からの連絡事項を聞いて、帰り支度をする。

スマホを見ても、竜見くんからの連絡は全くない。
……一緒に帰ったりするつもりもないのかな。


スマホをカバンにしまい、まだ机に座ったままの理子に話しかける。


「理子はもう帰るの?」

「いや、部活に顔出すつもり。雫は?竜見と帰ったりするの?」


“竜見”という言葉が出た瞬間、周りの女子たちの目線が集まった気がした。

「あの子、噂の彼女みたいだね……」
「ねー、ちょっとびっくり」


自分の悪口はなぜ鮮明に耳に入ってくるのだろう。
別にこれといってダメージもうけないけど。

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