タイムトラベラー・キス
「今日は一人で帰るよ、じゃあまた明日」
「うん、またー。……雫、いろんなこと気にすんなよ」
「ふふ、気にしてないよ。ありがとう」
……人に無関心なように見えて、ちゃんと気遣ってくれる理子が友達で嬉しいと思った。
竜見くんには会いに行かず、まっすぐに家に帰ることにした。あの手帳の所在は気になるが、夜に連絡をとることにしよう。
「ただいまー」
家は誰もおらず、リビングのテーブルの上には母からの手紙が置いてあった。
「なになに、今日は仕事だからご飯お願いします、か」
学生の時はよく、お母さんに代わって料理や家事をしていたな。
当時は面倒に思っていたけど、野々村くんと同棲してからその経験が役に立っている。