タイムトラベラー・キス

「……何これ、どう見ても一方的じゃん」


恋は盲目で、周りが見えなくなってしまうとよく言うけれど、高校生の私もまさにそれということが分かった。
どの日も、どんな誘いも、全て高校生の私から連絡していた。

竜見くんから連絡をくれたことなんで一度もない。
向こうから何かを質問してくれたこともなく、こちらから話を広げる一方。

よくこんなんで付き合ってるって言えるよね……。


今の私なら、客観的に見て”こんな付き合いはすぐやめたほうがいい”って思える。
でも、高校生の私は”もっと近づきたい”って思うからこんなに頑張るのだろう。

高校生の私らしく、自分から竜見くんに連絡しておかないと。
手帳のことも聞かなければならないし。


”こんばんは。この前は映画とても楽しかったです。また遊ぼうね。ところで、竜見くんの部屋にピンク色の手帳が落ちてなかったかな?”


”こちらこそ楽しかったよ。ありがとう。手帳ぱっと見当たらないけど、また探しておくね。それとも、今度うちに来て一緒に探す?”


竜見くんからのレスポンスはとても早かった。
モテる男は高校生のうちからマメなんだな、と妙に納得する。


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