タイムトラベラー・キス
その次の日。
一時間目の後の休憩時間。

理子と話しながら、次の授業の準備をするためにカバンの中を確認する。


「あっ、次の授業で使う教科書を忘れてきちゃったみたい」


「マジで、誰かに借りてきたら?」


「うん、借りてくるね」


そう言って私は階段を上がり、竜見くんのクラスへと向かった。
実は、わざと教科書を忘れてきたんだけど、こんなことは誰にも言えない。

竜見くんに会いに行く口実を作るために忘れてきたのだ。


竜見くんのいる教室にいると、竜見くんはほかの男子生徒と楽しそうに話していた。
……その中に入るのは緊張するけど、躊躇してはいられないので、彼に向かって進んでいく。



「……あの、竜見くん」


「雫ちゃん!どうしたの?」


竜見くんは相変わらず、子犬のような笑顔で私を迎えてくれた。


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