タイムトラベラー・キス
練習の時間。
本日すべての授業が終わり、放課後となった。
帰り支度を整え教室を出て、下駄箱で竜見くんの姿を待っている。
予定通り、竜見くんと一緒に帰る約束をとりつけることが出来たのだ。
「雫ちゃんお待たせ。帰ろうか」
数分後、相変わらず周りの視線を独り占めの竜見くんが登場した。
その視線は、相変わらず私の体にも突き刺さっている。
「一緒に帰るのは久しぶりだね。どこかに寄り道していく?」
「うーん、大きい公園とか行ってみたいかも」
「じゃあ駅を通り過ぎたところの公園でも行ってみよっか」
竜見くんは自然に私の手を握ってくる。
まだ高校も近く、周りには同じ制服の人がたくさん歩いているのに。
常に放置プレイなくせに、一緒に過ごすときは恋人っぽいことをしてくる。
そのアンバランスさがどうしても理解できない。