タイムトラベラー・キス
「ま、待って……ここ、学校だよ?」
「大丈夫。きっと誰も来ないよ。それよりもっと……キスしよう?」
「た、竜見くっ……」
止めさせようとしても、彼の動きは止まらない。
のぼせそうになるくらいに何度も何度もキスをされ、ようやく唇が開放されたと思ったら、彼の唇は違う場所に触れ始めた。
「……今日は耳にキスされることに慣れてもらおうかな」
長くて細い指で私の髪に触れ、そっと耳にかけた。
露わになった右耳を舌でなぞっていく。
耳たぶを優しく噛まれ、ほどよい刺激を受けるたびに体がびくっと動く。
「どうしたの?くすぐったい?……それとも、感じてる?」
「んっ……そ、そんなこと……」
右耳が弱い私は、耳元でそう囁かれただけで思わず声を漏らしてしまう。
同じように左耳にもキスをされ、私の反応を見て「右耳が弱いんだね」と笑うその顔は、まるで悪魔のように意地悪に見えた。