タイムトラベラー・キス
キケンな一日。
竜見くんとの次の練習は、ゴールデンウィークを直前に控えた日のことだった。
何度か竜見くんからお誘いがあったけど、どうしたらいいか分からなくて用事があると断ってしまっていた。
でも、何度も断るわけにもいかず、ようやく決心したのが今日だった。
”今日は授業が終わったら3階の空き教室に来てね”
うちの高校は年々生徒数が減っていて、各階に使っていない教室がある。
空き教室は教師も生徒もほとんど寄り付かず、たまに掃除をしているくらいの場所だった。
……またもや人気のない場所に呼び出された私。
この前”少し過激になるかも”と言われた練習の内容は、どんなものなのだろうか。
ドキドキしながら空き教室に行くと、すでに竜見くんの姿があった。
真ん中くらいの机の上に座って、入口のほうに体を向けていたので、すぐに目が合った。
「雫ちゃん、来てくれたんだね。最近会えなくて寂しかったよ」
「ごめん……結構忙しくって。家の手伝いとかで」
「そうなんだね、さぁ、近くの席に座ってよ」