タイムトラベラー・キス

「もうそれ以上はダメだよ……」


竜見くんの手を自分から話そうとしても、やっぱり男の人の力には勝てず、びくともしない。


「大丈夫。怖くないから安心して……」


やっぱり、私の意見なんてお構いなしに、どんどん行為を進めようとしてくる。
目隠しなんてして、私で遊んでいるに決まっているのに。
どこまで許して、どこから拒んでいいのか。
何が正しくて、何が過去で起きた事ではないのか。


もう何も分からなくなって、頭が真っ白になっていたその時……
入口のほうから、バンっと扉の激しく開く音がした。



「おい、晃、ここで何やってんだよ」


竜見くんの体が一瞬にして私から離れていく。
私も急いで自分で目隠しを取ると、視界には私と竜見くん以外の人物が”何人”もいた。


そして、入口のほうを見ると、野球部のユニフォームを着て顔を真っ赤にして息を切らせている、大好きなあの人の姿があった。
< 170 / 276 >

この作品をシェア

pagetop