タイムトラベラー・キス
野々村くんは、ベッドに横になる私を確認して「ちょっと待ってろ」と言って保健室から出て行った。
……本当に部活を抜け出して、大丈夫なのかな。


ゆっくりと目を閉じて、頭の中を整理してみる。
竜見くんは、私のことを周りに話して、他の男子に覗かせるようなことをしていたみたい。
もしかして、この前の屋上の時もまわりに誰かいたのだろうか。

……男子たちは、私のことを軽い女だって思ったのかな。
それにしても、竜見くんはなんて最低なのだろうか。


こんな人に恋をしていた高校生の自分が恥ずかしい。
でも、もし同じことを高校生の私がされたらどう思っていたのだろうか。
きっと27歳の私よりも、もっとショックを受けていたんじゃないかな。


そういう意味では、ひどいことをされたのが”私”で良かったのかもしれない。



……そんなことをいろいろと考えているうちに、うとうとと眠りの世界に落ちて行った。



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