タイムトラベラー・キス
「ん……」

目を開けると、見慣れない天井がまず目に入った。
ちょっと硬いベッドの上に寝ていて、少しだけ体が痛い。

体を横に向けようとして初めて、そばに野々村くんがいることに気づいた。



「おはよう」


野々村くんはすっかり学ラン姿に戻っていた。


「お、おはよう。もしかして、私が起きるのを待ってた?」


「まぁそんなとこ。実際30分くらいだったし、大したことねぇよ」


「ご、ごめん……」


未来の婚約者とはいえ、まだ付き合ってもいない状況で寝顔を見られるのは恥ずかしい。
いびきとか寝言とか、言っていなかっただろうか。
聞きたくても怖くて聞けないけど。


「もう起きたから、そろそろ帰ろうかな」


「そうだな、もう外は暗くなり始めてるし、ちゃんと送ってやるから」


「何から何までありがとう……」


野々村くんは少しだけ顔を赤らめて、ニコッと笑った。
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