タイムトラベラー・キス

そして、デート当日。
5月というのに真夏のような暑さで、ニュースを見ても”異例の真夏日”と報じられていた。


ロゴTシャツの上に長袖のチェックシャツを羽織る。下はデニムスカートにしてみた。
暑かったらシャツを脱げばいいし、この時期のコーデとしてはなかなかだと思う。

……たぶん、この時代の高校生が来てもおかしくない恰好であるはずだ。


「いってきます!」


朝ごはんを食べ、用意を済ませて家を出た。電車に乗り、映画館のある駅に降りると、時計の針は9時を指していた。
目的の映画は、公開してから時間が経過していたことと子供向けの映画であることから、午前中しか放映していなかった。


そのため、私たちは朝っぱらから遊ぶことになったのだ。



「野々村くん、お待たせ」


改札を出るとすぐに野々村くんの姿が目に入った。
長袖の黒いシャツに、七分の白いパンツ。アクセサリーなどの小物も身に着けている。
私の婚約者は高校生の時からおしゃれに気を遣っているんだな、と感心する。
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