タイムトラベラー・キス
映画館のチケット販売窓口もとても空いていて、私たちは待つことなく購入することが出来た。
恥ずかしそうにチケットを買う彼の横顔がとても愛おしく感じた。
「……って、今日の映画は私がおごるよ」
「いいよ。誘ったのは俺だし。女におごってもらうなんてダメだろ」
「男とか女とか関係ないの!これは私のお礼の気持ちなんだから、受け取って」
そう言って無理やりお札を野々村くんに渡す。
「頑固だな、お前。分かったよ……その代わり売店と昼飯はおごらせて」
「えっ?いいの?ありがとう!」
映画と言えばポップコーン。どうしても食べたかったんだよね。
うきうきして売店にならび、二人でジュースとキャラメル味のポップコーンを買った。
シアター内に入り、自由席だったので、ちょうど真ん中あたりの席へと座る。
「お前も席は真ん中派なんだな」
「う、うん」