タイムトラベラー・キス
――エンドロールが流れ、室内が少し明るくなり、観客たちが帰っていく。
私たちも立ち上がり、その流れに乗った。


「はー、相変わらず良かったわ。シロクマシリーズの映画ってなんでこんなに面白いんだろ」


「分かる!感動するところもあって、泣けちゃうんだよね」


「そうなんだよ。お前、話の分かるやつだな」


野々村くんは私の頭をぽんぽん、と叩いた。
高校生の野々村くんにそんなことをされたのは初めてで、思わずうつむいてしまう。
なんで照れてんだろう。


「あっ、悪い」


私の顔が赤くなっていることに気づいたのか、野々村くんは少しだけ私と距離を置いた。
彼の日に焼けた横顔もまた、赤くなっている。


「あ、あのさ!お昼ご飯まで時間もあるし、下のゲーセンにでも行かない?」


「おお、いいな、行こうぜ」


少し気まずい雰囲気も消えて、私たちは1階下ってゲームセンターへと向かった。
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