タイムトラベラー・キス
「う、うん。出かけたよ……ってことはやっぱりあれは、私の知っている野々村なの?」
理子は「よいしょっと」とおばさんくさく黒皮のソファに座り、
「まぁ雫も座りなよ」
と、手招きして私を横に座らせた。
「そう、あれはあんたが嫌いな野々村雪だよ。ただ、あんたの知ってる野々村ではないかもね」
「えっ?どういうこと?」
「あいつはね、27歳の野々村雪」
「……はぁ?」
理子の言っていることが全く理解できない。
野々村って、まさか10歳もサバを読んでた?!……いや、そんなはずはないか。
確かにさっきまでいた野々村は、私が学校で会った野々村とはちょっと違っていたもの。
「野々村だけじゃないよ。私も今年で27歳だし」
「……はぁ?!」