タイムトラベラー・キス
そして、4月7日の今日は……


「始業式の後、竜見くんとデート、なの?」

「ひゃっ!」


私の予定を盗み見したのは、幼馴染みで科学部の浅野理子。天然パーマの髪に150センチもない身長、大きめの額縁眼鏡をつけた彼女は、とても高校生には見えない。


「もう理子ってば、勝手に見ないでよね」


ぱんっと大きい音をたてて手帳を閉じる。


「学校でニヤニヤしながら手帳を見てるほうがあかんでしょ。それにしても、竜見晃と同じクラスじゃなくて残念だねぇ」

「うん、去年同じクラスだったから寂しいよお」


寂しくて自然とため息が出る。窓から見える満開の桜より、竜見くんの笑顔がみたいよ。


「私には恋なんて研究に無益なものに興味はないけどね」

理子はやれやれ、と呆れたような顔を見せてそう言った。
いやいや、研究よりも恋でしょうが、高校生は。
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