タイムトラベラー・キス
野々村くんが私を好きで、無理やりデートを誘ったみたいな言い方をしていた。
本当はそんな話ではなかったのに。
……って、よくよく考えたら、私告白されてた?
野々村くんはゆっくりと私から離れ、その綺麗な瞳でまっすぐに私を見つめる。
「さっき言ったことは、全部本当だから」
「そ、それって……」
「……俺は、お前のことが好きだ」
野々村くんが私を想ってくれているのは知っている。
でも、この時点での私たちはまだ付き合っていないし、最近距離を縮めたところだ。
改まって気持ちを伝えられると、恥ずかしくってたまらない。
「野々村くん……」
ドキドキして心臓が張り裂けそう。
でも、野々村くんの次の言葉を聞いた瞬間、違う意味で心臓が張り裂けそうになった。
「でも俺は、もうお前に近づかないから」